2018 年 18 巻 8 号 p. 383-391
サルコペニアは加齢や低栄養,低活動,疾患などが原因で,骨格筋量の低下とともに握力や歩行速度の低下など機能的な側面を含む概念である,サルコペニアの診断は,四肢骨格筋量に加えて,握力,歩行速度などの身体機能の評価を含めて行われるが,世界的には複数の診断基準が提唱されている。予防や治療の中心は栄養と運動である。サルコペニア高齢者への中鎖脂肪酸の治療可能性が指摘されている。
中鎖脂肪酸は炭素鎖8-10の脂質であり,エネルギー効率が高く,すぐにエネルギー源として利用される特徴がある。摂食量が減少した低栄養やサルコペニアの高齢者には極めて有用な栄養素の1つであると考えられる。最近の研究で,中鎖脂肪酸の経口摂取でグレリンの活性化を促すことが判明しており,食欲亢進の点からも中鎖脂肪酸は注目されている。