オレオサイエンス
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受賞論文
フェニルボロン酸を用いたグルコース応答性新規紐状ミセルゲルの調製と薬物放出特性
三木 涼太郎
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2019 年 19 巻 1 号 p. 5-11

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抄録

我々は,自発的にインスリンの放出性を制御できる可能性を持つ新規紐状ミセルゲルを調製することに成功した。その調製には75 mMの臭化セチルトリメチルアンモニウム,75 mMのフェニルボロン酸(PBA)および水を用いた。それらを用いpH 9.4において,自重を支えるほどの高い粘性を有するゲルが調製できた。動的粘弾性測定より,この系は長い絡み合いを有する紐状ミセル構造を形成していると推測された。10 mMのグルコースを含有させると系の粘性は低下しゾル様になった。一方,PBAと相互作用しにくいジエチレングリコールを10 mM含有する系では,粘性は高いままでゲル様の外観であった。フルオレセインイソチオシアネートデキストラン(FD-4)をモデル薬物として系に加え放出試験を行ったところ,100 mMグルコースを含む溶液を用いた場合,120分時点での放出率は,100 mMジエチレングリコールを含む溶液の場合に比べ,約27 倍であった。以上の結果は,グルコースに応答して薬物放出性が増大する紐状ミセルゲルの調製に成功したことを示す。

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© 2019 公益社団法人 日本油化学会
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