オレオサイエンス
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2 巻, 6 号
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総合論文
  • 宮下 和夫
    2002 年2 巻6 号 p. 333-338,330
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    共役リノレン酸 (CLN) はニガウリ, ザクロ, キササゲといったある種の植物種子油中に多量に含まれている。例えば, ニガウリ種子油は9シス (c), 11トランス (t) 13t-CLN異性体を60%以上含有している。このようなニガウリ種子油 (BGO) は化学的に誘発されたラット大腸の異形陰窩 (ACF) の発現を有意に減少させた。また, BGO投与により発ガンプロモーターであるPCNAの有意な減少とACFにおける細胞死が観察された。これらのことより, BGO中のCLNがガン予防効果を有することが示唆された。CLNは培養細胞系においても各種のガン細胞に対して増殖抑制作用を示した他, 大腸ガン細胞においてはガン遺伝子であるc-myc遺伝子の発現も抑制した。BGO投与で観察されたガン抑制効果は, 培養細胞で見られたこうしたCLNの作用と関連があるものと思われた。さらに, ラットやマウスにBGOを投与すると相当量の9c, 11t-CLA異性体が肝臓脂質中に検川された。9c, 11t-CLAは抗ガン活性を有することが知られており, CLNの抗ガン作用は生体内でCLNから誘導されたCLAに起因する可能性も考えられた。
  • 寺尾 純二, 長尾 昭彦
    2002 年2 巻6 号 p. 339-346,330
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    カロテノイドは植物由来の天然色素であるが, 食事由来の抗がん物質として期待されてきた。そこで, 1980年代に代表的なカロテノイドであるβ-カロテンを用いたヒト介入試験が各地で始まった。しかし, その多くはヒトでβ-カロテンが抗がん作用を発揮することを証明することはできず, 喫煙者においてはむしろ発がんを促進する結果が得られた。ただし, このことは食事から摂取するカロテノイドの有効性を否定するものではない。ヒトは食事からβ-カロテン以外にもリコペンやキサントフィル類等を摂取することから, β-カロテン以外のカロテノイドの抗がん作用にもっと注目すべきである。事実多くの動物実験ではこれらのカロテノイドが単独あるいは混合で強い抗腫瘍活性をもつことが報告されている。さらに, このような動物実験におけるカロテノイドの抗腫瘍作用の発現機構をカロテノイドの細胞への作用と吸収・代謝から裏付ける必要がある。最近, カロテノイドの細胞増殖抑制や細胞分化誘導作用に関する報告が出てきている。カロテノイドの酸化開裂反応及び酸化産物の細胞増殖への影響を解析した結果, キサントフィル類を含む様々な食品由来のカロテノイドのがん細胞への作用, 吸収について紹介する。
  • 秋久 俊博, 徳田 春邦
    2002 年2 巻6 号 p. 347-354,331
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    テルペノイドは, 菌類からヒトに至るまで, 二次代謝産物として生物界に広く存在している。テルペノイドには芳香, 苦味, 辛味や注日すべき生物活性を有する化合物が多く, 香料, 医薬品として用いられるものも多い。発がん予防の観点からも, これまでに極めて多種類のテルペノイドのスクリーニング試験が行われ, 多くの化合物に活性が見出されてきている。また, 幾つかは発がん予防剤として極めて有用であることが明らかにされている。本稿では幾つかのモノー, セスキー, ジー, およびトリテルペン, 並びにステロールの発がん予防効果について述べた。これらテルペノイドは食用植物、茸、及び生薬類の常成分であり、毒性は無いか極めて少ないと考えられる。従って、テルペノイドは発がん抑制物質として有望な化合物群の一つとして期待される。
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