2020 年 20 巻 12 号 p. 549-556
再生医療には,組織や臓器を再生させるための細胞や成長因子のみならず,それら細胞が組織を再構築するための「足場(組織工学材料)」が必要不可欠である。組織工学材料は工学的技術を駆使し,組織適合性,血液適合性,免疫原性,免疫毒性等の生体適合性,埋植部位に応じた物性,分解性,加工性等の最適化が求められる。近年,それら要件に適した様々な組織工学材料が報告されている中で,シルクフィブロイン(SF)もその候補の一つとなっている。本総説では,組織工学材料として応用するために必要なSFの分解性や炎症性に関する知見をまとめるとともに,具体的な組織工学材料への応用研究について紹介する。