2020 年 20 巻 5 号 p. 187-193
マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)は糖型バイオサーファクタントのひとつであり,そのユニークで多彩な機能から,界面活性剤としての利用だけでなく,環境適合型の機能性バイオ化学品として注目を集めている。現在,MELは化粧品・日用品分野で実用化されているが,今後のさらなる用途拡大,また医薬,農業,食品等の新規分野への参入には,生産性の向上と構造・機能の拡充が大きな課題となっている。こうした課題に対して,近年,複数のMEL生産菌で全ゲノム解読や遺伝子組換え技術の開発が進められ,遺伝子組換えによるMEL生産菌の改良が可能となってきた。本稿では,MEL生産菌の遺伝子組換えに向けた基盤技術の構築について国内外の取り組みを概説した後,筆者らがこれまでに取り組んだMEL生産菌の改良による量産化や構造拡充の事例について紹介する。