2020 年 20 巻 7 号 p. 305-309
固液界面では水分子が固体表面と相互作用して,不均一な3次元密度分布,すなわち水和構造を形成する。このような水和現象は,様々な界面機能や界面現象の発現に深く関与しているが,そのメカニズムは十分に理解されていない場合が非常に多い。この問題を解決するための強力なツールとして,近年原子間力顕微鏡を用いた水和構造計測技術に注目が集まっている。この方法では従来観ることのできなかったサブナノスケールの3次元水和構造を直接観察することが可能であり,水和現象に関する理解を大いに発展させられるものと期待されている。本稿では,この技術の開発動向と応用研究事例を総説する。