2021 年 21 巻 10 号 p. 417-424
地球温暖化に代表される環境問題の深刻化にともない,炭素循環型社会,カーボンリサイクル技術などの必要性は近年急激に増しており,また石油利用に代わる資源,技術が求められている。このような需要を満たすものとして,バイオプロセスによるバイオマス利用が挙げられる。本稿ではその技術の1つとして,微生物を用いたガス発酵による化学品生産を紹介したい。利用するガスはバイオマスの熱化学処理による合成ガス化により得られ,リグニンなどの難分解性資源や有機性ゴミなども利用可能にする。ガス発酵は酢酸生成菌と呼ばれる,水素,一酸化炭素,二酸化炭素といったガス体の基質を利用し生育する一群の微生物によるものである。本稿では,酢酸生成菌がガス基質を利用する代謝の仕組みとともに,ガス発酵による様々な物質生産の例を紹介し,今後の展望について議論する。