2021 年 21 巻 7 号 p. 269-273
油脂が食品中で美味しさに貢献している要因の一つに香気成分の吸着能が考えられる。そこで,様々な油脂および幾つかの微量成分の有無における香気成分吸着能の違いを検討した。その結果,固体脂量が少ない油脂のほうが一般的に香気成分の吸着能が高いことが示唆された。また,グリセリンおよび植物ステロールを微量添加することで更に香気成分吸着能が上がることが明らかとなった。これらのことより油脂は食品中で香気成分を溶解しそれらを口中に運ぶ溶媒の働きをすることで美味しさ,さらには「こく」の付与に貢献していると推察された。