2021 年 21 巻 7 号 p. 275-282
チョコレートの製造後の保存期間中に発生するファットブルームは,チョコレートの表面だけでなく内部のテクスチャーにも不均一化をもたらし,口溶けや風味などの品質を劣化させる。その発現の詳細は,チョコレートの構造や使用されるチョコレート油脂によって多様に変化し,その制御はチョコレート製造技術における極めて重要なテーマである。本稿ではファットブルームの基本的な形成メカニズムとその測定法を概説したうえで,筆者たちが最近解明した反射型レーザー顕微鏡を用いたファットブルーム測定法と,ココアバター代用脂を用いたチョコレートのファットブルームの防止法について考察する。