2021 年 21 巻 8 号 p. 321-328
プラスマローゲンはリン脂質のサブクラスの一種で,嫌気性微生物から哺乳類まで生物界に広く分布している。プラスマローゲンの病態生理学的役割はよくわかっていないが,以前から,アルツハイマー病をはじめとする多くの神経変性疾患との関係が示されてきた。近年,体内のプラスマローゲンの変動が,酸化ストレスや慢性炎症を伴う代謝性疾患に関与するという多くの報告があり,血漿・血清中のプラスマローゲンは,これらの疾患のバイオマーカーとして期待される。そこで本稿ではプラスマローゲンの疾病との関係, およびプラスマローゲン分析の従来法から新しい方法まで様々な分析法を紹介する。