オレオサイエンス
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特集総説論文
新規酵素蛍光法による細胞内全主要リン脂質クラスの高感度ハイスループット定量分析
森田 真也
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2021 年 21 巻 8 号 p. 313-320

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抄録

リン脂質は,動物・植物・真菌・細菌を含む全ての生物における細胞膜の必須成分である。分子構造に基づいて,リン脂質は,ホスファチジルコリン(PC)・ホスファチジルエタノールアミン(PE)・ホスファチジルセリン(PS)・ホスファチジン酸(PA)・ホスファチジルイノシトール(PI)・ホスファチジルグリセロール(PG)・カルジオリピン(CL)・スフィンゴミエリン(SM)などのクラスに分けられる。 しかし,これまで,リン脂質クラスを定量するための適切な方法が無かった。そこで,筆者は最近,全主要リン脂質クラスPC・PE・PS・PA・PI・PG・CL・SMを定量する酵素蛍光定量法を開発した。本方法により,短時間の簡便な操作で,高感度かつハイスループットなリン脂質クラスの定量を行えるようになった。 そして,これまでに,リン脂質代謝に関連する酵素やトランスポーターの機能を調べるために,本定量法を用いて培養細胞ならびに細胞内小器官のリン脂質クラス組成を評価してきている。本酵素蛍光定量法は,幅広い生命科学全般において,リン脂質の生化学的・生理学的役割を解明する重要な技術となることを期待している。

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