オレオサイエンス
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21 巻, 8 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特集総説論文
  • 杉森 大助
    2021 年21 巻8 号 p. 305-312
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/07
    ジャーナル フリー

    地球上に現存する細胞の細胞膜は例外なくリン脂質を主成分として利用している。この一見普遍的に思えるリン脂質は生物種,組織,細胞小器官などによって,その構造や組成が際立って異なっており偏在している。近年,特にヒト生体内で偏在するエーテル型リン脂質が重大な病気を早期発見するバイオマーカーとして大きく注目され,活発に研究されている。本総説では,偏在性リン脂質に特異的に作用する新奇ホスホリパーゼの発見とその応用に向けた取り組みについて紹介する。

  • 森田 真也
    2021 年21 巻8 号 p. 313-320
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/07
    ジャーナル フリー

    リン脂質は,動物・植物・真菌・細菌を含む全ての生物における細胞膜の必須成分である。分子構造に基づいて,リン脂質は,ホスファチジルコリン(PC)・ホスファチジルエタノールアミン(PE)・ホスファチジルセリン(PS)・ホスファチジン酸(PA)・ホスファチジルイノシトール(PI)・ホスファチジルグリセロール(PG)・カルジオリピン(CL)・スフィンゴミエリン(SM)などのクラスに分けられる。 しかし,これまで,リン脂質クラスを定量するための適切な方法が無かった。そこで,筆者は最近,全主要リン脂質クラスPC・PE・PS・PA・PI・PG・CL・SMを定量する酵素蛍光定量法を開発した。本方法により,短時間の簡便な操作で,高感度かつハイスループットなリン脂質クラスの定量を行えるようになった。 そして,これまでに,リン脂質代謝に関連する酵素やトランスポーターの機能を調べるために,本定量法を用いて培養細胞ならびに細胞内小器官のリン脂質クラス組成を評価してきている。本酵素蛍光定量法は,幅広い生命科学全般において,リン脂質の生化学的・生理学的役割を解明する重要な技術となることを期待している。

  • 西向 めぐみ, 前場 良太, 原 博
    2021 年21 巻8 号 p. 321-328
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/07
    ジャーナル フリー

    プラスマローゲンはリン脂質のサブクラスの一種で,嫌気性微生物から哺乳類まで生物界に広く分布している。プラスマローゲンの病態生理学的役割はよくわかっていないが,以前から,アルツハイマー病をはじめとする多くの神経変性疾患との関係が示されてきた。近年,体内のプラスマローゲンの変動が,酸化ストレスや慢性炎症を伴う代謝性疾患に関与するという多くの報告があり,血漿・血清中のプラスマローゲンは,これらの疾患のバイオマーカーとして期待される。そこで本稿ではプラスマローゲンの疾病との関係, およびプラスマローゲン分析の従来法から新しい方法まで様々な分析法を紹介する。

  • 中西 広樹
    2021 年21 巻8 号 p. 329-335
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/07
    ジャーナル フリー

    脂質は,私たちヒトの主要成分であり,生命を維持するうえで欠かすことのできない多彩な役割を担っている。地球上に存在する全生物がもつ脂質の数は十万種とも百万種とも言われ,明確な数,機能は明らかにされていない。これは,脂質が水に溶けにくい性質をもち,かつ,化学構造も多様であるがためである。リピドミクスは,細胞/組織/器官/生物のリピドームを体系的に研究する分野である。脂質の分析は,古くから種々のクロマトグラフィー技術や質量分析法、酵素法,蛍光標識,蛋白質プローブなどにより,定量的・定性的に行われてきた。そのなかにおいて,質量分析法は,優れた検出感度と多くの脂質分子を一斉分析する能力が高いため,近年の脂質研究においては欠かせないものとなった。しかしながら,脂質は代謝的・科学的に不安定であるため,正しい知識や技術をもって実験しないとデータに誤りやアーチファクトが生ずる。本稿では質量分析技術を基盤としたリピドミクスの作業プロセスの重要点とその実例について紹介したい。

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