2023 年 23 巻 3 号 p. 121-126
液体界面に形成されるソフトな分子薄膜は,エマルションや生体膜などの機能の解明にむけたモデル系として有用な研究対象である。微小角入射X線を利用した反射・回折測定は,ソフト界面膜の構造研究にとって非常に強力な実験手法の一つである。実験室のX線と比較して桁違いに強い放射光をもちいると,短時間での測定が可能となり,刻々と時間変化する構造を追跡することができる。本稿では,放射光をもちいたソフト界面膜の動的構造測定について解説した後,本手法をもちいて明らかにしたタンパク質の界面吸着機構について紹介する。