2023 年 23 巻 5 号 p. 241-247
マクロファージにはM1型とM2型の異なるフェノタイプが存在する。M1型は病原体や異質な細胞(がん細胞)を認識して排除する免疫応答を担う一方,M2型は血管新生や組織再生を促し,がんの形成にも関わる。がんの形成過程におけるマクロファージの動態,特に,M2型の性質をもつtumor-associated macrophage(TAM)の機能や,M1型とM2型の分極の制御因子が明らかになるにつれ,マクロファージに焦点をあてた新たながん免疫療法の提案が活発化してきている。本稿では糖鎖改変による細胞表面の修飾とがん免疫治療を指向したマクロファージの機能化について紹介する。