2024 年 24 巻 1 号 p. 11-19
ポリエチレングリコール(12モル)/ポリジメチルシロキサン共重合体(PEG-12ジメチコン)はポリエーテル変性シリコーン(PEMS)の一種であり,ラメラ液晶を形成することが知られており,化粧品に利用されている。剪断,水の揮発,基板との相互作用によるPEG-12ジメチコンの構造体の変化をレオロジーと中性子小角散乱の同時測定(Rheo-SANS)または中性子反射率法(NR)により評価した。バルクでは36wt%以上のPEG-12ジメチコン高濃度において板状のラメラ構造の再配向が生じ,neutral配向へと転位した。しかしながらよく知られているラメラ-マルチラメラベシクル転移は確認されなかった。また基板表面への界面活性剤の静的および動的吸着過程を理解し,吸着膜構造を解明することは塗布膜の機能や性質を制御するうえで非常に重要である。PEG-12ジメチコンは親水化シリコン基板上でバルク中の構造と類似してはいるが一定の表面粗さを持った1枚の二分子膜を形成していることが分かった。