オレオサイエンス
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特集総説論文
サステナブル素材であるマンノシルエリスリトールリピッド(MEL)の多用途展開
小林 将大菅原 知宏山本 周平
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2024 年 24 巻 10 号 p. 439-446

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抄録

担子菌酵母が生産するバイオサーファクタントの1種であるマンノシルエリスリトールリピッド(MEL)は,高い生分解性と安全性を有するサステナブル素材である。MELは優れた界面活性作用や自己集合能を有する。加えて,その特徴的な生理活性作用を活かして化粧品素材としての応用が先行しているが,その他の市場への展開を目指した研究開発も進められている。例えば農業分野においては農業用展着剤として有望視されており,環境への影響を抑えながら農薬の効果を高めることが期待される。畜産分野では,その選択的抗菌特性を活かして,反芻動物のメタン生成抑制飼料添加物や,抗生物質を使用しない乳房炎改善剤としての活用が研究されている。さらに,MELの用途は生活資材分野にも広がり,保湿性の付与や抗ウイルス効果,フイルム表面調整効果が見込まれる。本稿では次世代のバイオベース素材として注目されるMELの幅広い用途展開の可能性について概説する。

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