オレオサイエンス
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特集総説論文
FT合成技術を用いたSAF製造技術
寺井 聡
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2024 年 24 巻 8 号 p. 351-358

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抄録

国際航空分野は,2019年時点で世界全体の約1.8%に相当するGHGを排出しているが,2050年までに同分野でのGHG排出量を実質ゼロにすることが各国間で合意されている。GHG排出削減の切り札として持続可能な航空燃料SAFが注目されていて,今後,世界各地で膨大なSAFの需要が見込まれる。
GHG削減効果が公に認められているSAF製造法の内,FT合成技術にて得られるSAFは,多様な一次原料から製造が可能な汎用性の高い技術であり,かつ,他の製造法に比べてGHG削減効果のポテンシャルが高い特徴がある。
SAF製造では,LCA的な見地からバイオマス等の非化石由来原料や再エネ水素を原料とする必要があるが,原料輸送の観点から一般的な石油精製プラントの規模感と異なり,地消型の中小型プラントが適した技術となる。この規模に特化したFT合成技術も開発されていて,国内でもNEDOの事業で一貫製造実証と商業フライトへの実機給油が完了し,社会実装への検討が継続されている。
日本国としても国際合意目標を達成するためには,戦略的にGHG削減効果の高いSAFを確保していくことが重要であり,SAFの環境付加価値の適切な評価も含め,SAFの利用・供給拡大に向けた事業支援策の検討が進められている。

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