2025 年 25 巻 10 号 p. 429-434
フェロトーシスは,鉄介在性の脂質過酸化によって駆動される制御細胞死である。その発動には,多価不飽和脂肪酸を含むリン脂質の脂質過酸化から,最終的に細胞膜の破裂に至る。細胞はフェロトーシスを抑制する複数の防御系が備わっている。代表的なシスチン/GSH/GPX4経路は過酸化脂質を解毒・還元するが,GPX4非依存的経路としてFSP1–CoQ10経路,GCH1–BH4経路,ビタミンKサイクルなどが知られており,これらは脂質ラジカルを捕捉し過酸化を防ぐ。また,ビタミンE,スクアレン,7-デヒドロコレステロールといった内因性抗酸化物質もフェロトーシス抑制に寄与する。また抗酸化防御機構に加え,脂質組成,鉄の恒常性といった因子が感受性を規定する。これらのフェロトーシス制御機構の解明は,がんや神経変性疾患などフェロトーシス関連疾患の治療戦略や創薬標的としての可能性が期待されている。