オレオサイエンス
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特集総説論文
フェロトーシス研究に貢献する鉄イオン蛍光プローブ技術
平山 祐
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2025 年 25 巻 10 号 p. 435-439

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抄録

フェロトーシスは,鉄の存在が必須である。我々の体にとって鉄は必須の栄養素であるが,過剰あるいは代謝に異常が生じた場合,細胞に対して様々な化学的傷害をもたらす。フェロトーシスにおいては脂質の過酸化が細胞死のトリガーとなるが,過酸化脂質の発生過程において鉄,特に二価鉄が反応の中心となっている。古くはフェントン反応として知られる過酸化物と二価鉄の反応では,ラジカルが生成し,これが生体防御機構の限界を超えると細胞死につながる。多くのフェロトーシス誘導薬は,二価鉄+過酸化脂質による傷害を防御する機構を阻害するものであり,このことから,鉄のキレート薬やラジカルスカベンジャーとして働く化合物がフェロトーシスの阻害薬として機能する。フェロトーシス発見当初から,過酸化脂質とフェロトーシスの関連性についての知見は深く研究されているものの,もう一つの鍵である二価鉄については,その動態解析がされ始めたのは比較的最近である。その理由は,フェロトーシス発見時には二価鉄を検出できる蛍光プローブが世になかったからである。本総説では,筆者らが開発してきた二価鉄蛍光プローブの原理と,フェロトーシスを含めた,各蛍光プローブのイメージング応用例について紹介する。

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