オレオサイエンス
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25 巻, 10 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
編集委員会から
特集序言
特集総説論文
  • 三島 英換
    2025 年25 巻10 号 p. 429-434
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/02
    ジャーナル フリー

    フェロトーシスは,鉄介在性の脂質過酸化によって駆動される制御細胞死である。その発動には,多価不飽和脂肪酸を含むリン脂質の脂質過酸化から,最終的に細胞膜の破裂に至る。細胞はフェロトーシスを抑制する複数の防御系が備わっている。代表的なシスチン/GSH/GPX4経路は過酸化脂質を解毒・還元するが,GPX4非依存的経路としてFSP1–CoQ10経路,GCH1–BH4経路,ビタミンKサイクルなどが知られており,これらは脂質ラジカルを捕捉し過酸化を防ぐ。また,ビタミンE,スクアレン,7-デヒドロコレステロールといった内因性抗酸化物質もフェロトーシス抑制に寄与する。また抗酸化防御機構に加え,脂質組成,鉄の恒常性といった因子が感受性を規定する。これらのフェロトーシス制御機構の解明は,がんや神経変性疾患などフェロトーシス関連疾患の治療戦略や創薬標的としての可能性が期待されている。

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  • 平山 祐
    2025 年25 巻10 号 p. 435-439
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/02
    ジャーナル フリー

    フェロトーシスは,鉄の存在が必須である。我々の体にとって鉄は必須の栄養素であるが,過剰あるいは代謝に異常が生じた場合,細胞に対して様々な化学的傷害をもたらす。フェロトーシスにおいては脂質の過酸化が細胞死のトリガーとなるが,過酸化脂質の発生過程において鉄,特に二価鉄が反応の中心となっている。古くはフェントン反応として知られる過酸化物と二価鉄の反応では,ラジカルが生成し,これが生体防御機構の限界を超えると細胞死につながる。多くのフェロトーシス誘導薬は,二価鉄+過酸化脂質による傷害を防御する機構を阻害するものであり,このことから,鉄のキレート薬やラジカルスカベンジャーとして働く化合物がフェロトーシスの阻害薬として機能する。フェロトーシス発見当初から,過酸化脂質とフェロトーシスの関連性についての知見は深く研究されているものの,もう一つの鍵である二価鉄については,その動態解析がされ始めたのは比較的最近である。その理由は,フェロトーシス発見時には二価鉄を検出できる蛍光プローブが世になかったからである。本総説では,筆者らが開発してきた二価鉄蛍光プローブの原理と,フェロトーシスを含めた,各蛍光プローブのイメージング応用例について紹介する。

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  • 山田 健一
    2025 年25 巻10 号 p. 441-448
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/02
    ジャーナル フリー

    最近,脂質由来ラジカルや酸化脂質が,細胞死(特にフェロトーシス研究)や炎症反応に密接に関与していることが報告され,注目されている。しかしながら,これら脂質ラジカルや酸化脂質は反応性が高いために適切に測定する技術が制限されていた。研究を加速するには,やはり分子そのものの検出が必要不可欠であろう。また,適切な阻害剤も必要になる。そこで本稿では,脂質過酸化反応の連鎖反応中心である脂質由来ラジカルの検出と構造解析,並びに酸化リン脂質に対する構造解析技術について記載する。

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そこが知りたい
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