オレオサイエンス
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特集総説論文
水和している生体/材料界面のキャラクタリゼーションと医療製品開発
田中 賢
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2025 年 25 巻 4 号 p. 133-143

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抄録

水分子は,タンパク質の吸着/脱離,細胞接着挙動を含むバイオ界面現象に重要な働きを示す。このバイオ界面における水の役割を理解するためには,水和した材料および水和水の物理化学物性を理解することが必要である。水の状態は,各種熱分析法および分光法により解析した。材料と中間的な相互作用をしている水が生体親和性の指標になることを明らかにした。また,原子間力顕微鏡法により,面内相分離による材料/水界面のナノ構造形成を観測した。材料の密度が低く,水の密度が高い領域は生体親和性が高いことがわかった。材料/水界面における材料の密度が重要な因子であることが明らかになった。周波数変調型原子間力顕微鏡による解析の結果,材料/水界面における材料の密度が低く水の密度が高い領域(中間水)は,斥力を生じることがわかった。中間水に着眼した考え方は,材料の設計や材料/医療機器表面のタンパク質吸着/細胞接着を理解するための新しい分析ツールの開発に有効であると考えられる。

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