2025 年 25 巻 5 号 p. 199-204
コメはでんぷんだけでなく,ビタミンE類やフェルラ酸,γ-オリザノール類などの抗酸化物質の優れた供給源としても機能する。これらの抗酸化物質は米糠層と胚芽部分に多く含まれるため,玄米の方が白米よりも生理活性が高いと考えられてきた。しかし,化学的あるいは生物学的な抗酸化作用について,玄米と白米との間で質や量的にどれほど異なるのかについては不明な点が多い。我々は,抽出物のレベルでは白米も玄米と同等の化学的または生物学的抗酸化作用を示すことを明らかにしてきた。また,コメの生物学的抗酸化作用にはビタミンE類よりもγ-オリザノール類の主要な分子種であるフェルラ酸シクロアルテニル(CAF)の貢献度がより高いことを明らかにしている。本総説では,これら成果を基に,CAFの抗酸化作用を基盤とした健康機能に関する潜在能力を紹介する。