2025 年 25 巻 5 号 p. 191-197
γ-オリザノールは,米糠および米糠の抽出物を精製して製造されるこめ油に豊富に含まれており,多くの有益な機能を有する生理活性成分としてよく知られている。γ-オリザノールはトリテルペンアルコールまたは植物ステロールのフェルラ酸エステル体の混合物であるため,これまで混合物として研究されており,γ-オリザノール分子種に着目した研究はほとんどなかった。近年の研究により,γ-オリザノール分子種はそれぞれ特有の機能性を示すことが明らかになってきたことから,分子種の分析法の開発や,分子種の化学構造と生理活性の関係を明らかにすることが重要である。近年,特定保健用食品制度や機能性表示食品制度を背景に機能性食品への関心が高まる中,これらのγ-オリザノール分子種に着目した研究の進展が期待されている。本総説では,食品中のγ-オリザノール分子種の最新の分析技術を中心に紹介する。また,その応用例(γ-オリザノール分子種の吸収・代謝評価)についても触れたい。