オレオサイエンス
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特集総説論文
油剤の揮発と親和性の変化を用いた酸化物粒子の分散制御と化粧品への応用
福原 隆志那須 昭夫稲澤 晋
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2025 年 25 巻 6 号 p. 247-254

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抄録

酸化チタンや酸化亜鉛粒子は紫外線防御成分として日焼け止めに用いられる。これらナノ粒子は油剤とともに分散した状態で製剤に配合される。粒子の凝集は紫外線防御能の低下と塗布した部分の不自然な「白浮き」の問題を生じるため,日焼け止めの処方作りにおいて「タブー」とされてきた。本稿では,凝集体の動的な構造変化機構の発見とともに,UV散乱剤粒子の新たな分散体組成を開発した事例について紹介する。開発した分散体の塗布膜では,その乾燥時間とともに,粒子の解凝集を伴って光学特性が劇的に変化することが見出された。この光学的転移において,UV遮蔽能と視覚的透明性は自発的に上昇する。これは塗布膜から貧溶媒が揮発・消失し,分散剤に対する溶媒親和性が回復するという変化によるものであった。さらに,開発した分散体中で元々生じている凝集構造は,塗布液が肌のキメや毛穴に流れ落ちる「キメ落ち」を抑制し,均一な塗布膜の形成に寄与した。結果として,初めからUV散乱剤粒子を良分散した分散体と比べても,より高いUV防御性能を発揮することが明らかとなった。

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