2025 年 25 巻 6 号 p. 241-245
コロイド分散液やエマルションなど複雑な流体を塗工乾燥して薄膜を得るプロセスは,ものづくりの実プロセスで頻繁に用いられている。しかし,それら複雑流体の乾燥速度論は未だに不明点が多い。この総説では,筆者がこれまでに行ってきた研究を例に挙げ,何がどこまで分かってきたのかを紹介する。溶媒の蒸発は,その内部に存在する分散体にとっては圧縮として作用する。その結果,分散していた固体粒子は充填され,粒子膜が自発的に形成する。エマルションでは液滴が圧縮変形し,その後の連続相の蒸発速度に影響を及ぼす。これら蒸発が関わる速度論を複数の例を通じて議論する。