オレオサイエンス
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特集総説論文
セラミドによる皮膚透過性バリア形成の分子機構
木原 章雄
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2025 年 25 巻 9 号 p. 369-378

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抄録

セラミドは体表面に存在する表皮角質層に多量に存在し,感染防御と水分損失の防止を担う皮膚バリア形成において極めて重要な役割を果たす。ヒトの表皮角質層には多様なセラミドが存在し,23クラスと1,500を超える分子種が存在する。セラミドは遊離型セラミドと結合型セラミドに大別され,遊離型セラミドは角質細胞間に存在する脂質多層構造体(脂質ラメラ),結合型セラミドは角質細胞脂質エンベロープの成分である。遊離型セラミドはさらに非アシル化セラミドとアシルセラミドに分類される。セラミドの中でも結合型セラミドとアシルセラミドは皮膚バリア形成において特に重要であり,それらの合成に関わる遺伝子の変異は先天性魚鱗癬を引き起こす。本総説ではセラミドの多様性を生み出す分子機構,セラミドクラスごとの皮膚バリア形成における役割,皮膚疾患との関連についての最新の知見を紹介する。

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