2025 年 25 巻 9 号 p. 379-387
敏感肌とは,外部からの要因に対して,不快な感覚が生じやすい肌であり,角層バリア機能の脆弱性や神経の過敏性を有する傾向にあると言われている。しかしながら,敏感肌意識者の中には,心理的な思い込み等による敏感肌のように,客観的皮膚状態が正常な方から,皮膚疾患のように病的な方まで,様々な方が含まれると考えられており,敏感肌の皮膚生理に関してはいまだ系統的な見解が少ない現状にある。このことは,香粧品科学の分野において長年の課題とされてきた。近年,我々は皮膚生理の中でも,角層バリア機能に焦点を当て,その中心的な役割を担っているセラミドと,皮膚の刺激感受性を主とした敏感肌特有の皮膚性状との関係性について,重点的に研究を進めてきた。そこで本稿では,敏感肌とセラミドの関係性について,研究対象者が皮膚疾患を伴うか否かで分類し,先行研究を概説した後,我々が取り組んだ最新研究に関して紹介する。