2026 年 26 巻 4 号 p. 145-151
機能性展着剤(アジュバント)は,気候変動,農業労働力不足,スマート農業の進展といった農業環境の変化の中で,農薬効果を安定化・向上させる重要な役割を担っている。本稿では,高濡れアジュバントおよびドローン散布用アジュバントの開発とその性能について紹介する。高濡れアジュバントは,植物由来のポリオキシエチレン脂肪酸エステルを有効成分とし,液体の表面張力と固液界面の界面張力の双方を制御する設計思想に基づいて開発された。その結果,撥水性の高い作物表面に対して優れた濡れ広がり性を示すとともに,病原菌や害虫体への浸透性が向上し,殺菌剤・殺虫剤の効果安定化を確認した。一方,ドローン散布用アジュバントは,液滴表面に形成される界面膜による蒸発抑制を特徴とし,ドリフト低減および被覆率向上を実現した。これにより,少水量・高濃度・高高度の農薬散布条件下でも高い防除効果が得られ,減農薬散布への貢献が示唆された。これらの結果は,界面精密制御に基づく機能性展着剤が,次世代農業における持続可能な病害虫防除技術として有効であることを示している。