オレオサイエンス
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特集総説論文
腸内マイクロバイオータ代謝物による消化管ホルモン分泌制御機構
吉池 佑里原田 一貴坪井 貴司
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2026 年 26 巻 5 号 p. 193-202

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抄録

グルカゴン様ペプチド-1(Glucagon-like peptide-1: GLP-1)は,腸内分泌L細胞から分泌される消化管ホルモンである。消化管内の栄養素がL細胞を刺激することでGLP-1が分泌され,血糖値の調節や食欲の抑制に寄与する。さらに,消化管内に生息する腸内マイクロバイオータは,摂取された栄養素を基質として多様な代謝物を産生し,消化管の管腔内に放出する。これら腸内マイクロバイオータ由来の代謝物もまたL細胞を活性化し,GLP-1分泌に影響を及ぼすことが明らかになってきた。

本稿では,腸内マイクロバイオータ代謝物のうち,大豆イソフラボン由来のS-エクオール,二次胆汁酸であるデオキシコール酸,および胆汁酸の脱抱合により生じるタウリンがL細胞に及ぼす作用とGLP-1分泌への影響について解説する。これらの代謝物は,L細胞に発現するGタンパク質共役型受容体やトランスポーターを介してL細胞を活性化し,GLP-1分泌を促進することが示されている。さらに,GLP-1分泌を促進する腸内マイクロバイオータ代謝物として最もよく知られる短鎖脂肪酸についても概説する。短鎖脂肪酸はL細胞のGタンパク質共役型受容体を活性化しGLP-1分泌を促進すると報告されてきたが,我々はL細胞周辺の微小環境によっては短鎖脂肪酸がむしろGLP-1分泌を減弱させることを明らかにした。これらの知見は,食事由来成分と腸内マイクロバイオータ代謝物がL細胞を介して宿主代謝に影響を及ぼすという,食事-腸内マイクロバイオータ-内分泌応答の密接な連関を理解するうえで重要な示唆を与える。

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