抄録
種々の膜を用いた光エネルギーの化学的・電気的・光的変換についてまとめた。光誘起竃荷分離後の逆反応は, 水溶液中の分子集合体界面電場, ミセルなどへの取り込み, メディエーターの利用, 電子交換相互作用による電子のみの拡散などにより効率的に抑制できた。単分子累積膜によりクロモフォアの配列・配向・相互作用を制御し, 増幅消光, 過渡光電流制御などを実現した。金属薄膜上に形成した色素を含む高分子薄膜の反射率の入射角依存性は導波モードによる鋭いディップを示す。その極小値あるいは極小角は高分子薄膜の光励起に伴う複素屈折率変化によって, 二次元・高速かつ全て光で制御できた。このようにして光機能性膜は, これからの地球規模でのエネルギーおよび環境問題あるいは種々の光情報変換を通じて人類の福祉に大きな寄与が期待される。