2003 年 3 巻 5 号 p. 241-249,232
赤外分光法は, ソフトマテリアルからなる薄膜の膜構造や表面物性を研究する上で, 最も有用な分析手段として知られている。しかし, これまで赤外分光法は, ごく限られた用途でしか活用されておらず, たとえば分子配向の半定量的な議論や, 水素結合の状態などが議論されてきたに過ぎない。本稿では, 赤外分光法をソフトマテリアル薄膜に利用する最近の試みをご紹介する。これらは, 今後の材料科学で新しい物性の理解に, 幅広い利用が期待されるものである。