抄録
ミセル・紐状ミセル・ベシクルなどの界面活性剤が形成する分子集合体の形成と崩壊を, 外部刺激により可逆的に制御することができれば, 集合体内部に保持した薬物や香料の放出制御や, 有害有機物の回収除去などへの応用が期待できる。本論文では, 光応答性を有するアゾベンゼン修飾カチオン界面活性剤 (AZTMA) を利用した, 分子集合体形成の光制御について報告する。
まず, trans-AZTMAとcis-AZTMAの臨界ミセル濃度 (cmc) および可溶化能の違いを利用した可溶化の光制御について述べる。次に, 紐状ミセル中に取り込ませたAZTMAの光異性化反応を利用した溶液粘性の光制御について紹介する。最後に, カチオン性のAZTMA, アニオン性のSDBSの混合系におけるベシクル形成の光制御について報告する。