オレオサイエンス
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4 巻, 12 号
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学会賞受賞論文
  • 日高 久夫
    2004 年4 巻12 号 p. 493-508,491
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    一般に広く使用されている界面活性剤は, 二酸化チタンを分散させた水溶液に空気中で紫外線を照射することにより容易に分解することが出来る。種々の化学構造の界面活性剤についての光触媒分解メカニズムを調べた。親水基および疎水基は共に競争的に分解し, 数段階の酸化プロセスを経由してCO2へ無機化される。酸性条件下での分解速度は, 陰イオン系界面活性剤が一番早く, 次いで非イオン系界面活性剤, 陽イオン系界面活性剤の順となる。界面活性剤分子中の疎水基に関しては, 芳香環が一番早く分解され, 次いでエトキシル基, アルキル基の順となる。光酸化過程は, TiO2粒子表面への界面活性剤の吸着挙動や静電気特性の静的因子および光吸収に伴う電荷分離やOHラジカル生成の動的因子の二つに分類される。吸着に関しては部分電荷の計算により推論した。界面活性剤分子の骨格の全原子中で, フロンティア電子密度が高い原子が, 光触媒上で生成したOHラジカルの攻撃を受ける。例えば, 芳香環のスルホン基が結合している炭素が優先的に酸化され, その後, 芳香環のその他の炭素が反応してヒドロキシル化する。続いて徐々に長鎖メチレン基も攻撃を受け, 分解されることが明らかになった。高分子, 農薬, 色素, 内分泌かく乱物質なども光触媒で無害化された化合物へ分解される。市販の日焼け止めローション中の顔料TiO2やZnOの光触媒としての活性を, これらをDNAに作用させた時の損傷から評価した。TiO2を固定化した薄膜電極を使用した水溶性有機化合物の光分解過程で光電流を取得することができた。有機汚染物質の分解過程でのエネルギーの再資源化に関して, 湿式太陽電池の利用の可能性を示した。
進歩賞受賞論文
  • 酒井 秀樹
    2004 年4 巻12 号 p. 509-517,491
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    ミセル・紐状ミセル・ベシクルなどの界面活性剤が形成する分子集合体の形成と崩壊を, 外部刺激により可逆的に制御することができれば, 集合体内部に保持した薬物や香料の放出制御や, 有害有機物の回収除去などへの応用が期待できる。本論文では, 光応答性を有するアゾベンゼン修飾カチオン界面活性剤 (AZTMA) を利用した, 分子集合体形成の光制御について報告する。
    まず, trans-AZTMAとcis-AZTMAの臨界ミセル濃度 (cmc) および可溶化能の違いを利用した可溶化の光制御について述べる。次に, 紐状ミセル中に取り込ませたAZTMAの光異性化反応を利用した溶液粘性の光制御について紹介する。最後に, カチオン性のAZTMA, アニオン性のSDBSの混合系におけるベシクル形成の光制御について報告する。
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