オレオサイエンス
Online ISSN : 2187-3461
Print ISSN : 1345-8949
ISSN-L : 1345-8949
総合論文
光学活性セラミドの開発と機能
石田 賢哉
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 4 巻 3 号 p. 105-116,89

詳細
抄録

皮膚の最も重要, 且つ普遍な機能は生体と外部環境とのバリアー機能である。セラミドは皮膚角層細胞間脂質の主成分として存在し, バリアー機能の維持に重要な役割を果たしている。一方, 天然セラミドの骨格をなすスフィンゴシン塩基の立体配置は (2S, 3R) -体 (D-erythro体) で, “光学活性体” としてのみ存在することが知られている。そこで我々は不斉合成技術を応用した有機合成により, これまで困難とされていた天然型 (2S, 3R) -セラミドの開発に成功した。しかしながら, セラミドは長鎖炭化水素基とアミドジオール基から構成される両親媒性化合物である為, 種々の基剤に対する溶解性は著しく低いという問題点を有していた。我々は光学活性セラミド機能を具現化するために角層細胞間脂質のラメラ構造に着目した安定な処方開発を試みた。このようにして得られた製剤は優れた皮膚水分保持, バリアー改善機能, 及び毛髪保護作用を示すことが分かった。
本稿では光学活性セラミドの開発と機能特性について処方化技術を含めて紹介する。

著者関連情報
© 2004 公益社団法人 日本油化学会
前の記事
feedback
Top