オレオサイエンス
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総合論文
アシルアミノ酸エステルの機能と応用
石井 博治
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2004 年 4 巻 3 号 p. 97-103,88

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抄録
界面活性剤と油の中間に位置する領域で役割を担う素材として, N-アシルアミノ酸エステルのような, 油と定義される構造でありながら僅かな親水性の性質を持つ素材を本稿では紹介する。N-アシルアミノ酸エステルの興味深い物性は, アミノ酸に起因する親水性の性質とその化学構造に因るものである。界面活性剤と油の中問領域に位置する物質として挙げたSLIP (N-ラウロイルサルコシンイソプロピル) は, 難溶性とされる素材との相溶性が高く, 無機顔料の分散性を向上させる機能的な物質である。また, 荒れ肌の回復効果にも関与しうることが認められたAGCE (N-ラウロイルグルタミン酸ステロールエステル) は, 角質細胞間脂質とラメラ構造を形成するなど興味深い性質が見出されている。これらは, 共存する油の性質や環境を変化させることができる物質群といえる。
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© 2004 公益社団法人 日本油化学会
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