オレオサイエンス
Online ISSN : 2187-3461
Print ISSN : 1345-8949
ISSN-L : 1345-8949
4 巻, 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
総合論文
  • 酒井 裕二, 鈴木 将史
    2004 年 4 巻 3 号 p. 91-96,88
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    基礎化粧品とエマルションは密接に関連し合っている。そのため, エマルション技術の向上が化粧品の品質向上につながり, 化粧品技術の進歩がエマルション研究を底上げする図式となっている。このような視点から, 筆者らはジグリセロールテトラオレート (DGTO) を開発し, その特異的乳化挙動と化粧品のクレンジングへの応用について検討した。乳化挙動においては, O/W乳化傾向が高いこと, 界面張力が低いこと, 液晶への溶解性が低いこと, 吸油量が低いことが他の油と比較して際立っていた。このため, この油を配合したクレンジングクリームは, 高いクレンジング機能を有することが分かった。これらの特性の要因として, 有機概念図上の有機性値と無機性値が高いことが考えられた。
  • 石井 博治
    2004 年 4 巻 3 号 p. 97-103,88
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    界面活性剤と油の中間に位置する領域で役割を担う素材として, N-アシルアミノ酸エステルのような, 油と定義される構造でありながら僅かな親水性の性質を持つ素材を本稿では紹介する。N-アシルアミノ酸エステルの興味深い物性は, アミノ酸に起因する親水性の性質とその化学構造に因るものである。界面活性剤と油の中問領域に位置する物質として挙げたSLIP (N-ラウロイルサルコシンイソプロピル) は, 難溶性とされる素材との相溶性が高く, 無機顔料の分散性を向上させる機能的な物質である。また, 荒れ肌の回復効果にも関与しうることが認められたAGCE (N-ラウロイルグルタミン酸ステロールエステル) は, 角質細胞間脂質とラメラ構造を形成するなど興味深い性質が見出されている。これらは, 共存する油の性質や環境を変化させることができる物質群といえる。
  • 石田 賢哉
    2004 年 4 巻 3 号 p. 105-116,89
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    皮膚の最も重要, 且つ普遍な機能は生体と外部環境とのバリアー機能である。セラミドは皮膚角層細胞間脂質の主成分として存在し, バリアー機能の維持に重要な役割を果たしている。一方, 天然セラミドの骨格をなすスフィンゴシン塩基の立体配置は (2S, 3R) -体 (D-erythro体) で, “光学活性体” としてのみ存在することが知られている。そこで我々は不斉合成技術を応用した有機合成により, これまで困難とされていた天然型 (2S, 3R) -セラミドの開発に成功した。しかしながら, セラミドは長鎖炭化水素基とアミドジオール基から構成される両親媒性化合物である為, 種々の基剤に対する溶解性は著しく低いという問題点を有していた。我々は光学活性セラミド機能を具現化するために角層細胞間脂質のラメラ構造に着目した安定な処方開発を試みた。このようにして得られた製剤は優れた皮膚水分保持, バリアー改善機能, 及び毛髪保護作用を示すことが分かった。
    本稿では光学活性セラミドの開発と機能特性について処方化技術を含めて紹介する。
feedback
Top