オレオサイエンス
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総合論文
N-メチルタウリンを対イオンとする脂肪酸塩の性質
宮原 令二阿部 公司
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2006 年 6 巻 1 号 p. 15-22

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抄録

脂肪酸石鹸の対イオンとして, アルカリ金属, アルカリ土類金属, トリエタノールアミンが用いられてきた。近年, リジンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸もまた, 使用されだしている。それぞれの脂肪酸塩はそれぞれ異なった性質を示すことが知られているが, これまでの脂肪酸の対イオンとして用いられた化合物は全て塩基性化合物であった。そこで, 本研究では, ラウリン酸ナトリウムに及ぼすN一メチルタウリンなどの両性化合物の影響について, i3C-NMRと相平衡図により検討した。その結果, N一メチルタウリンは対イオンとしてラウリン酸のカルボキシル基に吸着していることが推察された。また, ラウリン酸N一メチルタウリンナトリウム石鹸水溶液では高温や低濃度で顕著に遊離脂肪酸が析出することがわかった。ラウリン酸N一メチルタウリンナトリウム水溶液は, ラウリン酸ナトリウム水溶液に比べて表面張力や油分に対する界面張力が低く, C.M.C.は大きかった。この様にラウリン酸N一メチルタウリンナトリウムの性質はラウリン酸ナトリウムと異なっていた。次に, ラウリン酸N一メチルタウリンを皮膚洗浄料に用いた場合, 他の石鹸と比較して濯ぎ時に水中のカルシウムイオンによって形成されるラウリン酸カルシウムの皮膚への収着量が少ないこと, このため, 洗浄後に石鹸特有のつっぱり感が生じにくいことを見出した。

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© 2006 公益社団法人 日本油化学会
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