オレオサイエンス
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総合論文
新規の脂肪酸組成を持つダイズ油の突然変異による改良
高木 胖穴井 豊昭
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2006 年 6 巻 4 号 p. 195-203

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抄録
ダイズ油は, マーガリン, ショートニング, サラダ油, 揚げ物用に使用されており, 消費量の多い食用油脂である。ダイズ油中の多価不飽和脂肪酸を減少させる改良 (オレイン酸含量を増加させリノール酸とリノレン酸含量を減少させる) は, 人の健康にまたダイズ油の酸化安定性の向上には極めて有効である。しかしながら, ダイズでは, オレイン酸とリノレン酸の含量を変える遺伝資源が限られていることから, 突然変異体の利用が有効であると考えられ, 化学物質やX線照射等による遺伝変異の拡大が図られてきた。その結果, これまでに, 高・低のパルミチン酸含量, 高ステアリン酸含量, 高オレイン酸含量, 低リノレン酸含量の諸種の突然変異が得られるとともに, これらの脂肪酸組成を支配する主動遺伝子の支配が明らかにされてきた。現在では, これらの突然変異遺伝子を組合せることで, これまでにない新しい脂肪酸組成を持つダイズの育種が可能となっている。本報告では, ダイズの脂肪酸組成を大きく変える新しい遺伝子の発見を中心として, 50%を越える高オレイン酸含量で3%以下の低リノレン酸含量となるダイズの作出に至る最近の育種の進歩について述べる。
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© 2006 公益社団法人 日本油化学会
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