オレオサイエンス
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総合論文
国内外のナタネ育種の現状
脂肪酸組成の改良を中心として
山守 誠
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2006 年 6 巻 4 号 p. 189-194

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抄録
ナタネ油は日本の主要な食用油であり, ほとんどはカナダおよびオーストラリアから輸入・搾油される。国内のナタネは1960年代以降激減したが, 東北農業研究センターは5つの無エルシン酸品種を育成してきた。そのうちキラリボシはグルコシノレートも少ないダブルロー品質である。これらの品種は秋まき型であり, 収量は10aあたり300kgの試験成績を示している。世界的にはダブルロー品質がナタネの標準であり, 育種利用を目指して, 数種の脂肪酸に対するDNAマーカーの開発が進んでいる。突然変異育種はナタネのオレイン酸の高含量化, あるいはリノレン酸の低減化を可能としている。さらに高オレイン酸と低リノレン酸の成分特性を併せ持ち, 油が酸化しにくい高品質な品種も生まれている。また, 油の合成経路が解明されるにつれて, 関連酵素の遺伝子組み換えによってラウリン酸, ミリスチン酸またはステアリン酸が高まった新規なナタネも作出されるようになった。我々の研究室のナタネ育種目標は, 高収量が第一であるが, 栽培の振興に役立てるためにダブルローや高オレイン酸などの特徴ある油も重視している。
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© 2006 公益社団法人 日本油化学会
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