オレオサイエンス
Online ISSN : 2187-3461
Print ISSN : 1345-8949
ISSN-L : 1345-8949
特集総合論文
最近の飽和脂肪酸の問題
今泉 勝己
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 8 巻 10 号 p. 413-419

詳細
抄録

トランス型モノ不飽和脂肪酸に代わり得る適切な脂肪を創ることが望まれている。動物やヒトの研究から, ステアリン酸は他の飽和脂肪酸, 12 : 0, 14 : 0や16 : 0と比較してコレステロール代謝について異なった影響を及ぼすことが指摘されている。このような違いは, リノール酸に由来する摂取エネルギーの量によって影響を受けることから, よく制御された食事環境の基で血清コレステロールや動脈硬化に対する影響を評価することが肝要である。ステアリン酸の恩恵的な効果は, 総コレステロール対HDLコレステロール比を重回帰係数で評価した, 60例のメタ分析によって確認されている。トリグリセリドのsn-2位に存在する飽和脂肪酸は心臓疾患の危険因子に対して好ましくないとみなされてきたが, sn-1 (3) 位に飽和脂肪酸が多いシアバターあるいはココアバターのエステル交換は食後高脂血症や血液凝固因子の濃度に対して恩恵的であった。これらの研究は, トランス型モノ不飽和脂肪に代わるより優れた構造脂質の開発に寄与するであろう。

著者関連情報
© 2008 公益社団法人 日本油化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top