オレオサイエンス
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特集総合論文
高分子電解質ナノゲル系のコンプレックス形成について
竹川 雅実小川 和義国府田 悦男
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2008 年 8 巻 2 号 p. 47-53

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抄録
本論文は, 高分子電解質ナノゲル系における複合体形成の様相を示すことを目的とする。対象とする系は, ポリアニオン (PA) とカチオン性ナノゲル (CG) およびアニオン性ナノゲル (AG) とCGの二つで, 主として低分子塩を含まない条件下, 動的光散乱と静的光散乱を組み合わせて研究した。主要な結果は以下の通り要約される。 (i) PAはCG-・粒子と粒子内複合体を1 : 1の化学量論性に従う電荷中和によって形成するが, (ii) 結合したPAは, 高分子電解質交換反応により, CG, ポリカチオンまたはKCIの添加によって解離する。 (iii) AGを, それより電荷数の多いCGに加えると, 'randommodel'に従って複合体が形成し, CGの強い静電引力でAGがcGに均一に結合する。 (iv) これとは逆に, cGをAGに加えると, AGの一部はCGの電荷を中和するために優先的に結合し, 他の未反応AGが系中に残存する'all-or-nbnemoder'により複合体を生じる。これらは, ナノゲルがポリイオンの架橋体であり, danglingchainのためにボヤケタ界面を持つと考えることで理解できる。
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© 2008 公益社団法人 日本油化学会
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