オレオサイエンス
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特集総合論文
メラノジェネシスの制御機構とホスホリパーゼD
大口 健司
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2008 年 8 巻 7 号 p. 293-298

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抄録
メラニンは, アミノ酸の一種であるチロシンを出発物質として, さまざまな酸化反応を経て生じた化合物が重合した高分子有色物質である。メラニンの生合成 (メラノジェネシス) は, 皮膚色素細胞 (メラノサイト) により行われる。メラノジェネシスは, 細胞内外のシグナリングにより厳密に制御されているが, その詳細な分子メカニズムについては十分に明らかにされていない。これまでにわれわれは, メラノジェネシスを調節する細胞内分子機構の解析研究を進めており, リン脂質分解酵素の一種であるホスホリパーゼD1 (PLD1) が, メラニン生成を抑制するレギュレーターとして機能することを見出した。PLD1は, 細胞膜の主成分であるホスファチジルコリンを加水分解し, ホスファチジン酸 (PA) を産生する。 PAは, 種々の細胞内シグナル伝達分子を活性化する脂質性シグナル因子として機能することが知られている。PLD1によるメラノジェネシス調節の作用機序について解析を進めた結果, PLD 1はホスファチジン酸の標的タンパク質のひとつであるMammalian target of rapamycin (mTOR) を介して, メラニン生合成の鍵酵素であるチロシナーゼの発現をmRNAレベルからネガティブに制御し, メラニン生成を抑制することが分かった。
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© 2008 公益社団法人 日本油化学会
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