オレオサイエンス
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特集総説
糖脂質, とくにガングリオシドによる抗がん・免疫調節作用について
三浦 豊
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2009 年 9 巻 10 号 p. 473-481

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抄録
近年, 糖脂質の新たな機能性が明らかになりつつある。本稿では, とくにシアル酸を含有する糖脂質であるガングリオシドについて, その抗がん作用ならびに免疫調節作用に関して概説する。ガングリオシドは細胞膜においてはその外葉に局在していることが知られており, 細胞膜上でマイクロドメインを形成していると考えられている。ガングリオシドが抗がん作用, 免疫調節作用を示す際にも, マイクロドメインの構造的, 機能的修飾を介していると予想される。一方, これまでのガングリオシドの生理作用は主として細胞レベルでの研究であり, 生体内での作用を示した報告は非常に少ない。しかし, ガングリオシドは食品から摂取しており, 栄養学的な意義を検討することも重要であり, 食事由来ガングリオシドの生理作用を検討した報告も少しずつではあるが, 増えつつある。本稿ではわれわれの研究成果を紹介するだけでなく, ガングリオシドの栄養学的な意義について現状と将来的な検討課題を提案したい。
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© 2009 公益社団法人 日本油化学会
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