抄録
土木建築用水硬性材料の分野において, 高強度コンクリートの製造や地盤改良工事における流動性の向上等を目的として高分子界面活性剤である水溶性の高分子分散剤が混和剤として多用されている。近年この分野の技術の進歩において, 高分子界面活性剤の役割をさらに高めるために新しい技術開発に鋭意取り組んできた結果, 幸運にも複数の成果を得ることができた。本稿では次の3つの成果を例に挙げて説明する。1) 超高層RC建築物向け超高強度コンクリートの製造に使用する高性能AE減水剤として最適な水溶性グラマト共重合体 (SP2) の開発, 2) 高性能AE減水剤と収縮低減剤とを一液製品化したコンクリート用ハイブリッド混和剤 (HSPI, HSP2) の開発, 3) 地盤改良工事に使用されるソイルセメント用混和剤 (EF) の開発等について述べる。また本稿ではとくに, 基本的な作用原理, 高分子分散剤の化学構造, 水硬性粒子の分散メカニズム, コンクリートとソイルセメントの相違点などについても得られた知見を基に平易に概説する。