オレオサイエンス
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9 巻, 4 号
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特集総合論文
  • 木之下 光男
    2009 年 9 巻 4 号 p. 117-126
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    土木建築用水硬性材料の分野において, 高強度コンクリートの製造や地盤改良工事における流動性の向上等を目的として高分子界面活性剤である水溶性の高分子分散剤が混和剤として多用されている。近年この分野の技術の進歩において, 高分子界面活性剤の役割をさらに高めるために新しい技術開発に鋭意取り組んできた結果, 幸運にも複数の成果を得ることができた。本稿では次の3つの成果を例に挙げて説明する。1) 超高層RC建築物向け超高強度コンクリートの製造に使用する高性能AE減水剤として最適な水溶性グラマト共重合体 (SP2) の開発, 2) 高性能AE減水剤と収縮低減剤とを一液製品化したコンクリート用ハイブリッド混和剤 (HSPI, HSP2) の開発, 3) 地盤改良工事に使用されるソイルセメント用混和剤 (EF) の開発等について述べる。また本稿ではとくに, 基本的な作用原理, 高分子分散剤の化学構造, 水硬性粒子の分散メカニズム, コンクリートとソイルセメントの相違点などについても得られた知見を基に平易に概説する。
  • 福岡 徳馬
    2009 年 9 巻 4 号 p. 127-133
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    マンノシルエリスリトールリピッド (MEL) は, 酵母によって各種バイオマスから生産される両親媒性脂質 (バイオサーファクタント) の一種であり, 優れた環境・生体適合性と多彩な機能を併せ持つ先進的なバイオベース素材として注目されている。しかし, これまで発見・同定されている構造種が少なく, その用途開拓が制約されていた。今回, 生産酵母や培養条件を適宜選択することで, 従来とは「疎水基・親水基の構造および組成」が大きく異なる, さまざまなMEL同族体の開発に成功した。まず, 従来のMELが二鎖型の糖脂質であるのに対して, 培養条件を精密に制御することで, 三鎖型, および一鎖型MELが優先的に生産されることを見出した。これにより, 幅広い親水一疎水バランス (HLB) を有する各種のMELの提供が可能となった。また, ある種の酵母が, 既存のMELとは糖鎖の立体構造が異なる新しい構造種 (反転型MEL) を生産することを見出した。分子 (糖鎖) のキラリティーの違いは, 液晶形成や生理活性に大きく影響するため, これらの作り分けはMELの医薬・化粧品分野への用途展開を大きく促進することとなった。以上のように, バイオプロセスの精密制御により, 異なる用途に対応する種々のMEL同族体をテーラーメイド的に提供する画期的な手法が開発された。
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