オレオサイエンス
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特集総説
遺伝子組換え植物によるカロテノイドの生産
三沢 典彦
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2009 年 9 巻 9 号 p. 385-391

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抄録
カロテノイドは通常, 黄色~榿~赤色を示す炭素数40のイソプレノイド (テトラテルペン) 色素であり, 現在までに750種類以上が自然界より単離されている。カロテノイドは高等植物, 藻類, シアノバクテリア, 光合成細菌といったすべての光合成生物, および, 光合成をしない一部の細菌やカビなどによって生合成される。生合成的に最初の無色のカロテノイドであるフィトエンは, 2分子のゲラニルゲラニルピロリン酸から合成され, 次に, 長い共役二重結合を持つように脱水素反応を受ける。その後, しばしば環化され, 修飾を受けて, 多様なキサントフィル (分子内に酸素を含むカロテノイド) を形成する。本章では, カロテノイドの基本構造の生合成を示した後, 環化カロテノイド産生細菌と高等植物におけるキサントフィルの生合成を, 遺伝子産物としての酵素反応のレベルで示す。最後に, アスタキサンチンやカンタキサンチン等のケトカロテノイドを含む有用カロテノイドの経済的生産に向けた植物の代謝工学研究を紹介する。
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© 2009 公益社団法人 日本油化学会
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