2008 年 77 巻 3 号 p. 301-305
優れた発光特性やフレキシブル性をもち,低温プロセス・低環境負荷である有機π共役半導体が注目されている.デバイス応用には高度な薄膜成長技術が欠かせないが,他の新規半導体と比べても,有機π共役半導体の薄膜成長技術はかなり立ち遅れており,他の半導体材料で培われた薄膜成長技術をもとにした新しい薄膜成長法の確立が不可欠である.本稿では,有機π共役半導体のデバイス応用に重要なカギとなる薄膜成長技術について,分子ぬれ性という新概念に基づいたバッファ層について述べる.この技術によって高い結晶性薄膜の作製に成功し,高い移動度をもつC60トランジスタを作製できた.このバッファ層の作製には分子レベルでの制御がカギを握っており,これを容易にする新たな薄膜成長法として連続波レーザーMBE法を開発したので,これについても紹介する.