暗視と非接触画像温度計測に用いられる非冷却赤外線イメージセンサ(IRFPA)は,熱型検出器を集積したMEMSデバイスである.MEMS技術により実現される高断熱画素構造は,感度向上に大きく寄与してきた.これまでいろいろな方式のMEMS非冷却IRFPAが考案されたが,ハイエンド領域では抵抗ボロメータ方式とSOIダイオード方式が進化を続けている.すでに,非冷却IRFPAの画素ピッチは12µmまで縮小されており,ハイビジョンに対応した解像度の素子も開発されている.本稿では,非冷却IRFPAの実用化までの道のりと,進歩の中でMEMS技術が果たした役割を紹介し,今後の展開を議論する.