霊長類研究 Supplement
第20回日本霊長類学会大会
セッションID: B-20
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口頭発表
シロテテナガザルにおけるメラノコルチン1レセプター遺伝子の多様性
*中山 一大石田 貴文
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抄録
(目的)メラノコルチン1レセプター(MC1R)は、Gタンパク共役型7回膜貫通レセプターで、メラノサイトで発現しメラニン合成の制御に重要な役割を果たしている。また、ヒトをはじめとする多くの哺乳類で、MC1R遺伝子(MC1R)上の変異が毛色・皮膚色多様性の遺伝的背景となっていることが明らかになっている。シロテテナガザルの体毛色は多様性に富むが、その背景となっている遺伝子は未だ同定されていない。そこで本研究ではMC1Rのシロテテナガザルの体毛色多様性への寄与を調査した。
(方法)タイ中央部のシロテテナガザル26個体(暗色12個体、明色14個体を含む)について、PCR、サブクローニング、ダイレクトシーケンシングによってMC1Rの多型検出ならびにハプロタイプの決定を行った。さらに、COS-7細胞における一過性発現系を用いて、各ハプロタイプにコードされるMC1RのcAMP産生能を、酵素免疫アッセイによって測定した。また、他のテナガザル属の種についてもMC1Rの塩基配列決定を行った。
(結果)対象固体中に9個の単一塩基多型から構成される8種類のハプロタイプが発見された。しかし、これらのハプロタイプと特定の体毛色の相(明色あるいは暗色)の間には有意な関連性は発見されなかった。また、cAMP産生能にも関しても、ハプロタイプ間で大きな差異は認められなかった。
(考察)これらの結果から、MC1Rはシロテテナガザルの体毛色決定に関与していないことが示された。しかし、cAMPアッセイの結果、シロテテナガザルMC1Rは恒常的活性型に進化していることが示された。他種との塩基配列の比較から、テナガザル属の全体の祖先系列に生じたMet73Thr置換がこの恒常的活性化の原因であると考えられる。
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© 2004 日本霊長類学会
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