霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-50
会議情報
ポスター発表
動物園での定量的運動解析の試み
*平崎 鋭矢高野 智
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
 ロコモーションの運動学的分析は、これまでそのほとんどが実験室内に限られていた。しかし、実験室環境は自然環境とは大きく異なる。また、実験に用いることのできる種はそのために飼育しているものに限られ、詳細な運動計測データが存在する種は霊長類では10種に満たない(Schmitt, 2003)。このため、従来の身体運動に関する研究からは、個々の種についての細かな知見を得られても、そこから科学教育へと還元し得る身体運動と環境の関係や進化・適応の傾向等を抽出することが十分に行えなかった。しかし、最近の機器の発達は、実験室外での非侵襲的な定量データの収集を可能かつ手軽なものにしつつある。そこで、本研究では、野外に準ずる環境であり、多くの種に容易にアクセスできる動物園において、各種霊長類の自然な身体運動を非侵襲的に計測することを目標に、そのための計測法の開発を試みた。具体的には、最近、霊長類飼育環境のエンリッチメントに力を注いでいる(財)日本モンキーセンターにおいて、霊長類の身体運動を2-4台のビデオカメラで撮影し、得られた映像から身体運動と環境の3次元的復元を行った。その結果、野外環境においても身体運動の3次元的計測、即ち歩幅や歩調、四肢関節角度等の見積が可能であることを確認した。これまでは実験室内に限定されていたこの種の分析が屋外でも行い得ることによって、対象となる動物種が増え、また、動物の本来の動きを知ることが可能となり、研究の幅と可能性は大きく広がると言える。今回の発表では、これまでに得たいくつかの分析例を紹介する。この研究は文部科学省科学研究費補助金(萌芽研究)の助成、および(財)日本モンキーセンターの協力を得て継続中である。
著者関連情報
© 2007 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top